先日実家に泊まった時に、最近CMでもよく目にするボディソープ「hadakara(ハダカラ)」を初めて使用しました。
香りもとてもよく泡立ちもなめらか!さらにお風呂上りに保湿剤を塗っていないのにも関わらずしっとりつるつる!正直驚きました。しかも赤ちゃんやお子様のデリケートな肌にも使えますとのこと。
実家の親も弟も、みんなが絶賛していてすっかりお気に入りのようですが、元美容師のわたし的にはひっかかる部分がありました。それが「吸着保湿テクノロジー」という謳い文句。
そんな「hadakara(ハダカラ)」。大人はまだしも、赤ちゃんに使う前にはちょっと気になるな…と思う理由をまとめていきたいと思います。
※あくまでも専門家でないわたしが美容師時代に学んだシャンプーなどの洗浄剤の知識をベースに考察していくお話なので、参考までに読んでいただけたらと思います。
水に次ぐ主成分が「PG」という保湿成分
裏の成分表示を確認してみると、まず気になったのが水に次いで主成分になっているのが「PG」という保湿成分であることです。
「PG」はまれに刺激および感作作用が起こる可能性があるといわれている旧表示指定成分で、検索をかけてみるとあまりよくないことがいろいろと書かれています…ここでは詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、お肌に対して刺激になりえるということと、なんらかの毒性があるとされています。
簡単に言えばあまり赤ちゃんに使うのにはおススメできない、「化粧品添加物」であるということです。
100歩譲って、このPGが含有されていてもしっかり洗い流せばさほど残留性が高くないので問題ないかな…という側面もあるのですが、この製品の場合は「わざわざ残留させる処方」になっているのです。
さらにPGに続く「ラウリル酸」という石けんももお肌にとっては刺激が強く、良質な製品では除去されることも多い成分です。うーん
では、なぜこれらの「ちょっと刺激が強くて決していいものとは言えない洗浄成分が使われるのか?」といえば、単純に安価であるからです。お肌にやさしく、天然由来の良質な洗浄成分になるほど高価になりますから、ボディソープの大半の割合を占める洗浄成分を価格の安いものにすれば商品自体の値段をぐっと抑えられるわけです。
“吸着保湿”の正体「合成ポリマー」って?
hadakara(ハダカラ)の吸着保湿の秘密は、泡立て時に保湿成分が肌に吸着しやすい形に変化し、これがお肌に吸着することですすぎ時に洗い流されなくなるという原理だそうです。
この効果を付与するのが「アクリル酸アルキルコポリマー」というジェル化剤で、化粧品やヘアスタイリング剤などにもよく使われる皮膜形成成分です。
水に溶けるととろりとした液体になり、お肌に吸着。言い方を変えれば成分がお肌に「残留」しやすくなります。
そしてお肌に膜を張ることでべたつかずにつるつるの触り心地が続きます。この膜のおかげで使った後すぐに「お肌がきれいになった。潤っている」と錯覚するのです。
ポリマーは、ざっくりいえばプラスチックの成分!
「〇〇コポリマー」「〇〇ポリマー」「ポリ〇〇」のような名前の成分の正体は「合成ポリマー」と呼ばれる合成化学成分です。
「ポリマー」はつまりプラスチックの一種ですが、食品トレーやボトルなどのわたしたちの身の回りのプラスチックと違い水溶性で、なおかつとても柔らかいので、自然にお肌に自然に吸着します。水分を吸収・保持するため、赤ちゃんの紙おむつにも使用されています。
この合成ポリマーを赤ちゃんのお肌につけるのは、わたし的にはかなり抵抗があります。
「ビニールやサランラップでお肌を覆ったらつるつるでしょ!」というとイメージしやすいでしょうか…
「合成ポリマー」が赤ちゃんによくない理由
「合成ポリマー」が使われ始めてからはまだ日が浅いため、はっきりとした皮膚への影響はわかっていない部分が多いといわれています。しかし赤ちゃんに対して考えられるお肌への悪影響については使用する前に知ってから使用するかどうかを検討すべきだと思います。
お肌のバリア機能を弱めてしまう
合成ポリマーにより、一時的にお肌がつるつるに感じたり、水分を抱えてふっくらしているように感じるかもしれません。
しかしそれは表面に作られた「皮膜」のお陰。
実際にはお肌の水分・油分のバランスが整えられているわけではないため、気づかぬうちにお肌のバランスが崩れて乾燥が進み、お肌をもろくしてしまう可能性があります。
赤ちゃんのお肌は大人と比べて半分ほどの薄さしかなく、とても乾燥しやすくてデリケートなため、水分と油分のバランスの取れた保湿ケアが不可欠なのです。
皮膚環境が破壊される恐れがある
先ほどもお話しした例のように、ビニール袋やサランラップのようにしっかりとお肌を密閉してしまうため、本来ならばお肌に棲んでいるはずの常在菌が正常に増えることができなくなってしまうのです。
常在菌は皮膚を健康に保ち、紫外線などの有害物質からお肌を守ったり、細菌感染の予防や免疫にもかかわっているといわれています。
そのため、常在菌が減ってしまったり、棲めなくなってしまうことで本来の皮膚環境が破壊されてしまい、お肌のバリア機能が正しく機能しなくなることで敏感肌になりやすくなります。幼いうちに敏感肌体質になってしまうと、大人になってからも引きずります…
乾燥肌を進行させる
お肌の潤いは、水分と油分のただしいバランスで成り立ちます。
ところが合成ポリマーによる皮膜でつるつるに見えても実際にはお肌が潤っていない状況が続き、気づかない間に乾燥肌が進行していきます。
更に合成化学成分が常に皮膚に密着した状態でいることで皮膚には相当な負担になります。これを落とすのにもまた強力なクレンジングが必要なほど。赤ちゃんのお肌には優しくないことは言わずもがな…ですね…
香料もしっかり添加されている
ここまでご紹介したものはあまり聞きなじみがなかったかもしれませんが、多くのママたちが赤ちゃんに使用するせっけん、保湿剤には「無香料」のものを選んでいると思います。
香料には喘息・アレルギーを誘発、悪化させるという指摘があるほかに「化学物質過敏症」を発症する恐れもあるといわれています。
近頃は「香害」「香料アレルギー」なんていうワードが出てくることも多く、香料に含まれる化学物質のアレルギーで、特定のにおいをかぐと息苦しさやめまいを訴える人も増えてきているそうです。
これらは長期的な使用によるものが多いとは思いますが、まだ幼い赤ちゃんにとって合成香料は決して「よいもの」でないことは確かです。
hadakara(ハダカラ)は、とてもいい香りがしますがこれも香料が含まれているお陰。
さらに先述したとおりに肌に残留しやすい処方になっているため、この香料もしっかりとお肌に吸着してしまいます。これがより一層、赤ちゃん向きではないと考える理由です。
まとめ
極端に言ってしまうと、わりとバキバキに添加物を使用していて、しかも香料もたっぷりで、それをわざわざお肌に残留させるように工夫しているということです。
それなのにあえて「赤ちゃんやお子様のデリケートな肌にも使えます」って書いてあることに正直驚きました。 (斬新じゃないですか…?)
わたしが美容師時代に一時期流行った「ノンシリコンシャンプー」。
あれもシリコン、つまり「合成ポリマー」がよくない!毛穴に詰まる!ということでシリコンの含まれていないシャンプーが主流になったわけです。(ノンシリコンシャンプーを使ったところで、多くのコンディショナーにはシリコンが入っていたりするんですけどね)
そんなシリコンに似た成分が、わざわざボディソープにまで使われるようになったのか…と。
実際に自分自身で使ってみて、感動するような使い心地の良さだったのでたぶんなにも知らなかったらわたしも使っていたと思います…香りもいいしつるつるだし…
「赤ちゃんとのお風呂ってとにかくバタバタで忙しいから、ボディソープだけでこの洗いあがりならば、焦って保湿するひつようがなくて便利!」
って思うかもしれません。でも、ちょっとまってー!!!
現時点ではあくまでも毒性はなく、安全性が高いといわれ、指定成分にはなっていない「合成ポリマー」。しかしこの製品の場合は他に含まれている成分があまり良質のものではなく、お肌に残してほしくない成分ばかりなのです。
(これが洗浄成分も保湿成分も天然由来でお肌に優しくて香料も使っていなければ話はちがうかもしれませんが…)
以上のことから、特にアトピー性皮膚炎や乾燥肌の人、赤ちゃんやお子様にとってはあまりおススメできない製品であると考えました。
あくまでもわたし個人の見解ですが、大切な赤ちゃんや子供に使うにはちょっと抵抗のある成分だったので、赤ちゃんと一緒に使おうかな~なんて考えている方の参考になればと思います。